連載 エッセイ ヴィラ=ロボス





<文 宇野智子>


リオデジャネイロ旅行記



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連載エッセイ ヴィラ=ロボス 番外編
「リオデジャネイロ旅行記」

プロローグ
1. 2011年夏、ストライキ
2. EPMの音楽家たち (前編)
3. EPMの音楽家たち (後編)
4. 2013年春、ワークショップ
5. リオの街をそぞろ歩いて
エピローグ


エピローグ



2011年の旅は、命の洗濯としか言い表せない半月でした。

その頃の私は、自分がまだ進めるのか退くべきなのか寝ても覚めても考え続け、まさに進退窮まった状況にありました。そんな焦燥感を一時的にせよ、棚上げして過ごせた貴重な時間だったのです。変わり易いリオの空模様でしたが、気持ちよく晴れた日は、青色の見本のように高く澄んで雲一つなく、「(全世界)同じ空の下…」なんていう常套句は幻想だなと思ったものです。
もし、空が世界中のどこから見ても単一なものなら、人はこれほど郷愁の念に駆られたり、他の土地への憧れを抱いたりすることはないような気がします。

リオを発つ日のことも忘れられません。雨が降りしきるなか、空港行きのバスはいっこうに来ず、あきらめて捕まえたタクシーも渋滞にはまって動かない!事前に尚美さんから「リオの道は夕方から込むわよ〜」と聞いてある程度は覚悟していたのですが。降り際、運転手さんに「時間かかってごめんね、飛行機に間に合う?」と心配されながら、内心で(リオが私を引き止めているのかも。空も泣いてるなぁ…)などと感傷に浸っていました。

ちなみに2013年の帰国の便は深夜発でしたから、貸し切りバスは夜の道を空港まですいすい走りぬけ、所要時間はおそらく前回の半分以下だったと思います。

仲間と一緒の旅は、ワークショップという得難い経験のほかにも、たくさんの思い出ができました。皆でランチや街巡り、ライブ鑑賞といった同じ時間を共有する一方で、思い思いに過ごした自由時間の出来事もお喋りし合って、思い出は何倍にも膨らんだ気がします。

同じ場所に居合わせていても、それぞれの見ているものが異なり、考えていることや対象への思い入れも違うので、誰かの一言で新しい視点が見つかったり、自分が見落としていたものに気づかされたり…。

素敵な時間を過ごさせてもらいました。

この番外編エッセイも思いのほか長くなりましたが、ツアー中のあれこれ振り返りながら書くのはとても楽しい作業でした。ご一緒した方から「リオの思い出がよみがえってきます」とコメントを頂けたことも嬉しかったです。

フルーティストの熊本尚美さん、カヴァキーニョ奏者のだいどうじさかえさん、サンバダンサーの大道寺・ヴァレリア・美穂子さん、2013年の5月を共に過ごしたツアーメンバーの皆さん、そしてリオで行き会ったすべての人へ、この場を借りて改めて御礼申し上げます。

次回からは、ヴィラ=ロボスエッセイを再開していく予定です。ちょっと先になりますが、どうぞお楽しみに(!?)


Gostaria de agradecer do fundo do meu coração. Até logo!


2013 11 18

写真は著者から提供されました。