連載エッセイ

Choro No Mundo Todo ! 

(世界のショーロ)








<編集者より>

このエッセイの基調テーマは、「リオデジャネイロ以外のショーロ」です。
リオ以外の土地で演奏されるショーロを、時代を問わずに語ろうという計画です。




<文 中川恭太>


Natal

1.ノルデスチのショーロ

ナタウ、リオグランデ ド ノルチを訪問して その1


Nordeste

頭のてっぺんからまっすぐに降り注ぐ太陽。群青色の空、どこまでも高い雲、エメラルドグリーンの海、そして真っ白な砂丘。

パウ ブラジルが生い茂るジャングルの中、無色透明の水を湛える無数のラゴアで子供達が毎日遊んでいる。
この世のものとは思えない美しいビーチで、甘酸っぱいカジューの実を齧りつつちょっとのカシャーサをやればすぐ天国に行ける街━ブラジルはナタウ、リオグランデ ド ノルチに、先月訪問してきました。その時の話を少しばかりさせていただきます。

ショーロは、19世紀に当時のブラジルの首都リオデジャネイロで生まれた後、リオで着実に音楽性を豊かなものにすると同時に、その自由でかつ格調高い演奏スタイルはブラジル全土に広まっていきました。
そして大作曲家ピシンギーニャが活躍する頃、20世紀前半のリオには各地から腕利き音楽家が集まっていたのです。

joao Pernambuco

ギターのジョアン ペルナンブーコ、バンドリンのルペルシ ミランダはペルナンブーコの出身、クラリネット&サックスのルイス アメリカーノはセルジッペの出身。
ブラジル人の魂の故郷と言われるブラジル北東部、ノルデスチ出身の音楽家が多いのは、偶然ではないかも知れません。

K-Ximbinho

そしてそんな、リオという都に上京して活躍した音楽家は、地元では英雄として讃えられたのでしょう。
ナタウで私はそれを垣間見ることができました。
かの地の英雄と言えば、クラリネット&サックスのカシンビーニョです。
夜な夜なショーロが演奏されるバーの壁面には、ピシンギーニャと並んで、より大きくカシンビーニョの似顔絵が掲げられ、彼の功績が誇らしげに記されています。

ステージでは、セヴェリーノ アラウージョ(ペルナンブーコ出身だが、カシンビーニョとの関係は深い)やカシンビーニョの曲が待ってましたとばかりに演奏され、名曲「ソノローゾ」の最初のワンフレーズで拍手喝采…日本で言うところの演歌ステージのお作法が、ほぼ同じ様相でそこにありました。

Servino Araujo

私の現地の受け入れ先であった若手ショーログループ、ディオゴ グアナバラ&マカシェイラ ジャズ"Diogo Guanabara & Macaxeira Jazz"が、昨年の来日共演の際、曲目を決める時にカシンビーニョの話ばかりしていたのを思い出します。
ナタウ出身の音楽家にとって、カシンビーニョと言えば世界中の誰もが知っている人であるべきなのです。
現地のホーダ ヂ ショーロでは、日本で当たり前に演奏されるピシンギーニャのスタンダードは知らなくても、彼の曲なら知っているのです。そして自分達の街の英雄であるカシンビーニョの曲を演奏する外国人の存在は、彼等の誇りを満たすに十分な事実を提供していることになるのでしょうか。

この郷土愛の大きさと普遍性には、日本そのものや自分のルーツを心の底から愛する私でさえ、ある嫉妬のような感情を抱かずにはいられません。
それは、いわばブラジル気質、サウダーヂという現象そのものであるのかも知れません。
帰国の日、ステイ先のファミリーのママに「あなたは日本に帰って子供達と会えて嬉しいのだろうけど、あなたの心の中にはしっかりとサウダーヂ ド ブラジルが根付いたのよ」と言われたことが、今も私の頭の中を駆け巡っています。

2012 05 01

注:記事内の写真はインターネット上、ダウンロードできるものを添付しました。




Kyota Nakagawa

Filho de um pianista amador de jazz, Kyota Nakagawa cresceu num ambiente musical. Apaixonado por ritmos brasileiros, principalmente pelo choro e pela música de Villa-lobos, o saxofonista hoje toca com grandes nomes da música japonesa.

Em Natal, ele realiza o sonho antigo de tocar em solo brasileiro, interpretando clássicos do choro nacional e potiguar.

No repertório, um lugar especial para as composições de K-ximbinho, João Juvanklin e Tico da Costa. O projeto tem por objetivo resgatar e valorizar o choro produzido no Rio Grande do Norte, levando os músicos potiguares para tocar em outros países, e trazendo convidados internacionais para o RN.

Diogo Guanabara & Macaxeira Jazz
Photo by Mariana Do Vale
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<なかがわ きょうた>

画像の説明

フルート、サックス、クラリネット、ピアノを演奏する。
大学卒業後、ヴィラ=ロボスを聴きショーロに開眼。
2012年4月、ナタウでショーロを録音。
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