7弦ギターの役割



7弦ギターが現れる前には、コンジュント・ヘジョナルでのハーモニーやリズム、対旋律は、複数の6弦ギターで補い合っていました。
つまりギターの表現技法は、既に6弦ギターにより開発されていたということです。

Violao



ベネジット・ラセルダのヘジョナルの録音を聴いていると、6弦のジノとメイラがリズムとハーモニーを分かち合い、対旋律を弾いていることに気づきます。

例え作曲家がこうやれと或るフレーズを強制しているとしても、ショーロやサンバの大部分において、ギターが演奏するフレーズは即興によるものです。
だからギタリストにとって、ハーモニーやリズム、ジャンルごとのスタイルをよく知っておくことは的確に即興伴奏するための必要条件です。

時が経つにつれ 7弦ギターの普及とジノの偉大な才能によって、7弦ギターは昔とは異なった性格を持つに至りました。
この楽器を演奏する者の数が増え、対旋律のフレーズはほぼこの楽器が独占的に演奏するようになってきました。

この為、コンジュント・ヘジョナル内で、一種の花形の位置を得ましたが、一方、6弦ギターとは微妙に複雑な関係において、7弦ギターがヒエラルキーの上位にいつもいるということが、正しいわけではありません。

Noite Cariocas

確かに、このように目立つことで7弦ギターが更に普及し、若い人たちが益々手にするようになって来たことも事実です。

しかしながら、7弦ギターを弾くジノやハファエルは、偉大な対旋律演奏者となる以前に、ギターの基本的な役割を完璧に知っていたという事実を銘記すべきでしょう。

残念ながら、今この楽器を演奏する者の内の相当数が、この重要な基本を分かっていない為に、嘆かわしい結果を招いています。

ホーダ・デ・ショーロに4、5人の7弦ギター奏者がいても、みんな対旋律だけを弾いて、だれもハーモニーを弾こうとしないことがよくあります。

「俺が」「俺が」と競い合い、一つのバンド内でフレーズとフレーズをぶつけ合うような演奏は、ショーロやサンバの先駆者たちが残してくれた美しい伝統、つまり「バランス」と「全体性」を念頭に個々の楽器がその役割を担うというヘジョナルの特性を踏みにじっていると言えるでしょう。

7弦ギター演奏者の大部分がサンバやショーロのコンジュントを構成する不可欠なパートを担っているというのに、ハファエル・ハベーロが初めてソリストとしてレコーディングして以来、7弦ギターはこの(ハーモニー)役割を他の楽器演奏者に譲り渡してしまいました。

Raphael & Dino

ジノでさえも、ハファエルの傍らで、ソロっぽく演奏している歴史的なCDを録音しているのですから。
7弦ギターのソリストの輝かしい豊作期を迎えている昨今、ブラジル人のみならず、他の国々の演奏家たちによる様々なスタイルのCDが数え切れないほど出ています。

室内樂、特にギターのコンジュントでは、7弦ギターだけでなく、8弦ギターまで使われるようになっています。
カルテット・マオガーニ(Quarteto Maogani)の演奏は、これらの楽器について熟知し、秀でた感性を発揮している最良の例です。

2003年に作った7弦ギターと交響楽団による初めての協奏曲「7弦ギターとオーケストラのための組曲」(Suite para violao de sete cordas e Orquestra)は、パウロ・アラゴン(Paulo Argoao)の協力を得て更に管弦楽編曲を加え、ギタリストのヤマンドゥ・コスタ(Yamandu Costa)によって演奏されました。 
この作品はブラジルの主要なオーケストラのみならず、カナダ、フランス、ベルギーでも、初めて7弦ギター奏者をソリストに迎えて演奏されています。

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