連載 エッセイ ヴィラ=ロボス

<文 宇野智子>


(5) ヴィラ=ロボスの楽譜 in IMSLP 【前編】

ボルヘスの図書館


ヴィラ=ロボスの楽譜の大半は、フランス出版社のマックス・エシック(エシーク)社から出版されています。
(ブラジルやアメリカ、日本で出版されているものもいくつかありますが)

フィクシオネス

ヴィラ=ロボスに限らず、楽譜というのは絶版になっているものも少なくないので、集めるのは結構大変です。

音楽家にとっては宝ともいえる楽譜を(法律に則り)世界中の人と共有できるサイトがあります。
「IMSLP ペトルッチ楽譜ライブラリー」は、カナダの著作権法においてパブリックドメイン(著作権消滅)となった楽譜を掲載している無料楽譜サイトで、日本語とポルトガル語にも対応しています。

A Hora de Estrela/ Clarice Lispector

IMSLPとは、International Music Score Library Project(国際楽譜図書館プロジェクト)の頭文字、とのことなのですが、私は I’M SLeePing(私は眠っている)と記憶しています。我ながらめちゃくちゃな語呂合わせですが・・・。

著作権法は国ごとに異なっていて非常に複雑です。作曲家の死後50年もしくは70年経過で権利消滅、というのが大まかな規定ではありますが、出版譜や校訂者の著作権、リプリント版の権利など、国ごとに細則が違うのです。

日本では死後50年で著作権が消滅しますが、各国の戦時加算(戦時期間を保護期間にプラスすること)もあり、一筋縄ではいきません。

薔薇の名前

このサイトも世界中で閲覧できることから、一部の国では著作権侵害にあたる、とユニバーサル・エディションズ(Universal Editions)から訴えられたこともありました。
今では人海戦術による徹底した調査をおこなうことで、適切な楽譜管理がなされているそうです。

ヴィラ=ロボスは1959年に亡くなっていますから、今年で没後53年。最近、IMSLPのサイトにもヴィラ=ロボスの作品が増えてきており、44の作品がIMSLPに保存されています。しかしサイト側が調査中のためにブロックされているファイルも未だ多く、現在の時点でダウンロード可能な楽譜は以下の17作品のみでした。

蔵書

ピアノ

「子どもたちのカルナヴァル(Carnaval das crianças)」
「ショーロス第5番 ブラジルの魂(Choros No5 Alma Brasileira)」
「シランダス(Cirandas)」
「シランディーニャス/ブラジル民俗舞曲小曲集(Cirandinhas)」
「アフリカ的性格舞曲(Danças características africanas)」
「練習の手引き第2, 3, 6, 7, 9集(Guia prático)」
「おとぎ話(Histórias da carochinha)」
「カボクロの伝説(A lenda do caboclo)」
「赤ちゃんの一族 第1集(A prole do bebê No1)」
「単純な様式による印象(Simples coletânea)」
「花の組曲(Suíte floral)」
「オンドゥランド(Ondulando)」
「子どもの組曲 第2集(Suíte infantil No2)」
「南アメリカ(Sul América)」

室内楽

「黒鳥の歌(O canto do cisne negro)」ヴァイオリンもしくはチェロとピアノ
「小組曲(Pequena suíte)」チェロとピアノ
「オーボエ、クラリネットとバソンのためのトリオ(Trio for Oboe, Clarinet and Bassoon)」


IMSLP ヴィラ=ロボス・ページへは ↓
IMSLP





ピアノ曲の多くは日本でもポピュラーな作品で、宮崎幸夫さんによる校訂で出版されているものもありますが、売り切れになっている楽譜も多く、年々手に入りづらくなっています。
著作権保護期間を過ぎた音楽の共有は、演奏家にとっても聴く人にとっても、まさに公共の「財産」といえるでしょう。
ただし閲覧とダウンロードが可能といっても、これらの作品は「EUと著作権保護期間が死後70年の国々では十中八九パブリックドメインではない」と明記されています。
これらの国々で使用すると著作権侵害にあたりますので、あくまでも自己責任の私的利用でお楽しみ下さいね。

次回は上記の曲について詳しく書きたいと思います。


2012 08 08

Villa-Lobos


編者注:記事内の写真はインターネット上、ダウンロードできるものを添付しました。