片山叔美のエッセイ

「ブラジル浪漫暦話」

<文:片山叔美>




(11)「Retiro de Carnaval(レチーロ・デ・カルナヴァル)」

サンボードロモ




リオのカーニバル、今年も盛況でした。チーム一丸となったサンバパレードは本当にきらびやかで情熱的で、世界中の人々を魅了し続けています。
日本のニュース等でよく取り上げられているのは、通称サンボードロモという会場で行われるチーム(エスコーラ・ジ・サンバ)単位で順位を競うパレードです。

カーニバルの日程は、キリストの復活祭(春分の日以降、最初の満月の次の日曜日)の40日前(日曜日は断食日から外すためカウントしないらしい)から始まります。
ということで、今年は2月17日がカーニバルの日として祭日になりました。カーニバルのイベントは通常、土曜日から始まって火曜日で終了し、「灰の水曜日」を迎えます。
「灰の水曜日」から復活祭までは肉を食べない禁欲生活を送るという古くからの習わしがありますが、現代では、その40日間が終わると願いが叶うという俗信が加わり、例えばその期間に禁煙すれば健康になれるとか、運動を続ければダイエットに成功するとか、人助けに努めればその後の自分に幸せがくる、といった願掛けをする人も多いそうです。
ところで、40日間肉を食べないとは言っても鶏肉ならばOK。どうやらブラジル人にとって鶏は肉ではないらしく、肉というのは赤身だそうです。

この土曜日~水曜日は多くの企業や学校が休暇に入り、各人、行きたい場所に散っていきます。
外国人観光客の増えるリオを避けて別の場所のカーニバルに出かける人。あるいは、派手なお祭り騒ぎを嫌って海外や静かな田舎に旅行する人も。

また、居住する地域や属する教会によっては、この期間、田舎にある教会の施設に宿泊して宗教の学習や祈りをしながら過ごすという行事があります。
これをRetiro de Carnaval(レチーロ・デ・カルナヴァル:カーニバルから身を隠すの意)と言い、近頃は宗教講習会や自己啓発セミナー、あるいは菜食と祈りに徹する修行のようなことも行われているようです。
持ち物は洗面用具と着替え程度。参加者への注意書きには、アクセサリーや香水は禁止、もちろん恋愛も禁止、としっかり書かれていたりもします(!)
このRetiro de Carnavalは児童向けのものもあり、普段は子供の外泊を許さない親たちも安心して送り出します。子供にとっては、宗教の学習やミサ以外にも友達みんなで宗教劇をやったり、歌やゲームをしたり、面白いレクリエーションが色々あって、修学旅行のような雰囲気で過ごせるのがとても楽しいようです。
子供を預けた親の側もこの機会に帰郷したり、リオのカーニバルに出かけたり(!?) 

この期間の過ごし方は人や地域によって実に様々です。

カーニバルが終わった翌日が「灰の水曜日」。
楽しく開放的なお祭りが終わってみんな灰のように燃え尽きちゃうのかしらと思いきや、これはキリスト教の儀式の通称で、この日は教会のミサに行き、灰を頭にかぶせたり、灰で額に十字を描いたりするのだとか。
死を意味する灰によって、キリストが私達のために十字架にかけられたことを思い出し、この日より回心せよ、と促す儀式なのだそうです。そしてキリストの苦しみを少しでも知るべく、復活祭まで禁欲生活を続けるというわけです。

なお、一般的には土曜日から水曜日がカーニバルの休暇ですが、中にはついでに木・金・土・日も休み!にしちゃう人もいるとか…羨ましいぞ、ブラジル!!


2015年2月19日