片山叔美のエッセイ

「ブラジル浪漫暦話」

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<文:片山叔美>




(2) 5月には〈理想の〉結婚を




日本にも過ごしやすい季節がやってきました。
ブラジルは南半球ですから日本と反対、今は秋くらい。
でも日本の秋より気温は少し高めのようです。

そんな気候の良い5月にお勧めなイベントは……?

ブラジルではこの月が結婚月間とされていて、非常に多くのカップルが結婚式を挙げます。
ヨーロッパからの文化や習慣が沢山持ち込まれたブラジル。5月に結婚式を挙げるという習慣もその一つだそうです。
一年の中で、暑くもなく寒くもなく、そしてあまり慌ただしくもない5月。
季節を彩る花々が咲き乱れ、気分も上々。
こんな月こそ結婚式をするのにふさわしい、ということなのでしょう。
この習慣はブラジルに移民をした人々にも残り、秋という季節にもかかわらず、定着したようです。

さて、結婚すればつきもの……かもしれないのが離婚(!?)
ブラジルは離婚率が非常に高い国なのです。
何となくそれも分からなくもありませんが…

ブラジルでは結婚前に、夫婦となる両者の財産の権利について明確にしておかなければいけないそうです。
きちんと書類にサインして、しかるべき役所に提出するとのこと。
これは実際に「離婚率が高い」ことが考慮されているからでしょうが、根底にはブラジルの貧富の差という現実があるようです。

たとえば、こんなストーリーを一つ。

とても貧乏で、たいそう美しく、多少腹黒い娘がおりました。
次々と現れる男性をひっかけて、お金持ち同等の衣服やアクセサリーを手に入れた彼女は、高級な場所へも出入りすることができるようになりました。
さあ、そこで出会いましたよ!大富豪の男に。
男はこの美しい腹黒娘に一目惚れです。

「ぼくは、田舎に農場と牧場をた~くさん持っていて、この町ではホテルの経営もしている超お金持ちだよ~♪
君には何の不自由もさせないし、欲しいものがあれば何でも買ってあげる。君は僕を心から愛してくれるだけでいいんだ。」

残念ながらその男は彼女の好きなタイプではありませんでした。
(目をつむっていればかろうじて我慢できるくらい…っていう感じ?)

彼女は思いました。

「私は彼じゃなくて、彼の財産と結婚するのよ。彼のものは全て私のもの~!おほほほほほ!! しばらく目をつむって我慢して、財産をぶんどって離婚してやるわ」

そこへ神様からブラジルの平和をとりあえず任せてもらっている中途半端な天使が舞い降りて来ました。

「だめだめ、そこのソコソコ腹黒く美しい娘!」

「何よ?私のこと!?」

「君のそのえげつない考えを神様の前で言うことができるかい? 
いいことを教えよう。
離婚して財産をぶんどるつもりなら、結婚する前、相手の男性に “Comunhão universal de bens” にサインをしてもらうのさ。がんばれ!がんばるのだよ~アデウス!」

現在ブラジルでは、夫婦の財産の権利についての証書、下記の4つの中から1つを選び、結婚前にサインして提出をしなければなりません。

1)「Comunhão universal de bens」 結婚前と結婚後の両者の全ての財産を共有する。離婚時は均等に両者の財産を分配する。

2)「Comunhão parcial dos bens」 結婚前の財産は各自個別。結婚後に手にした財産については共有。離婚時は結婚後のその共有財産のみを分配する。

3)「Separação total dos bens」 結婚前も結婚後も自分の財産は自分のもの。持参金0で嫁入りして結婚後も自分で財産を作っていなかったら、0のまま離婚!

4)「Participação final nos aquestos」 結婚前の財産も結婚後の財産も各自個別。しかし、離婚時には結婚後に手にした財産は共有され、その財産は仲良く分配される。(別居の状態では相手の財産に触れることができない。離婚後には互いの財産を共有したうえで分配)

「それじゃ(1)を選ばせて結婚したいわ!!!!」

というところなのですが、超お金持ちは結婚の際、普通(3)を選ぶそうで…。
ちなみに一般的市民は(2)を選ぶことが多いとのこと。
(4)は最近できた財産分与のやり方で、少し議論もあるようです。

ブラジルでは貧富の差が甚だしい結婚があり得るので、お金目的の結婚を防ぐためにこのような制度があるらしいのですが…。
最初から離婚の時の財産の分け方を考えて結婚するというのも何だかちょっと。
とはいえ、最後に揉めるのはやはり財産問題。結婚前に決めておくのが得策なのでしょうか。

ということで、もしブラジルでお金持ちと出会うチャンスがあったら、断然(1)で結婚したいものですねー!!!?



2014 05 20