徳島の盆踊り ヴェンセスラウ・デ・モラエス
愛妻ヨネの故郷である徳島に移住し、妻の名前を一切口にすることも無く、あの世とこの世が地続きである日本の風土を愛しながらも、西洋人としてはそうはいかぬとの思いもあり、また墓石と墓石の間を漂白し、死者の世界に思いを寄せるモラエス。
五十九歳。
愛おしきものは石、虫、猫。
土佐日記、枕草子、方丈記、徒然草に続くエッセイ。
千九百十四年の盆踊りから千九百十五年の盆踊りまでの1年間。何も起こらなかった。(第一次世界大戦以外は)
「ドン・キホーテ」の最後のシーンと同じ静けさがある。すべてが起こり過ぎ去った後、思い出だけが残された時間が持つ静けさだ。